新西金沢駅を出ていく2両編成の電車は、数年前まで「このまま走り続けられるか」がわからない状態にありました。バスに置き換える案が検討され、そのうえで鉄道として残すことが決まったのが2023年です。決め手になったのは、意外にもバスの運転士が足りないという事情でした。

新西金沢駅そのものの成り立ちは 石川線と新西金沢駅 — 大正生まれのローカル私鉄 に書きました。この記事はその続き、「これから」の話です。

バスに置き換える案があった

石川線の存廃を話し合う協議会が設置されたのは 2022年5月。当初の検討テーブルには、線路を廃止してバス高速輸送(BRT)に切り替える案が載っていました。

しかし試算の過程で、廃止すると10台前後のバスを新たに用意する必要があることがわかります。運転士不足が続くなか、それだけの人員を確保すれば他の路線を減便せざるを得ない——この点がBRT化を難しくしたとされています。

2023年8月、沿線自治体の首長会議は「石川線は鉄道での存続が望ましい」という意見で一致しました。

「みなし上下分離」という決着

存続の枠組みに選ばれたのが みなし上下分離方式 です。線路や駅は北陸鉄道が持ったまま、整備費・修繕費・車両更新費を行政が負担する仕組みを指します。

時期できごと
2024年1月石川線・浅野川線について、みなし上下分離の導入で合意
2024年5月石川県が方式を容認
2024年12月地域公共交通活性化再生法に基づく鉄道事業再構築実施計画が認定
2025年4月支援の開始

支援期間は 2025年度から15年間、総額は約 132億3,000万円 の見込みです。計画の概要では、金沢市・白山市・野々市市・内灘町で約46億9,000万円、石川県が約28億8,000万円、残りを国の補助金でまかなう形とされています。

2027年度、新しい電車が来る

計画の柱のひとつが車両の更新です。石川線の新型車両は形式名 1M系(ひゃくまんけい)に決まり、2027年度からの営業運転が予定されています。2両編成を6本、合わせて12両。製造は総合車両製作所です。

デザインは利用者らの一般投票で選ばれた「空に始まり、海へ続く」案が採用されました。白山連峰から手取川、日本海へと続く景色をモチーフに、加賀水引をイメージした横のストライプが入ります。

路線の愛称も 2025年11月4日 に「白山ジオパークライン」と決定し、2026年3月28日からは記念ヘッドマークの掲出と、駅名標へのロゴ表示が始まりました。

数字で見ると

石川線の年間輸送人員は、1977年の291.5万人を山に減り続けてきました。2019年で125.0万人、2023年は106.4万人です。半世紀で3分の1近くまで縮んだことになります。

それでも鉄道が選ばれたのは、廃止した場合の行財政負担の試算が年4億8,000万円〜10億1,600万円にのぼり、支援を続けるほうが理にかなうと判断されたからだとされています。

なお、西金沢からIRいしかわ鉄道線を経由して金沢駅へ直通させる案は、検討の対象には挙がっているものの、記事執筆時点で実施が決まったものではありません。

このエリアには、松金線 のように消えてしまった鉄道もあります。石川線が「残る側」になった経緯は、記録しておく価値があると思います。

参考