新西金沢から石川線に乗ると、鶴来へ向かう途中に 四十万駅 があります。読みは「しじま」。初見でこれを読める人はまずいません。

説話に由来するという一説

四十万の地名由来として語られるものに、仏教の説話にまつわる一説があります。阿弥陀仏が百済の国から渡ってくる際、「四十万里の彼方の遠い所」と言った——その「四十万」が地名になった、というものです。

いかにも由緒ありげな話ですが、これは諸説あるうちのひとつにすぎません。地名の由来は文献に残らないことが多く、決め手を欠くのが普通です。ここでも「こういう説がある」以上のことは言えません。

文献に出てくる四十万

由来は定かでなくても、地名そのものは古くから使われていました。1499年(明応8年)の善正寺文書には「本郷四十万村」という記述が見えます。500年以上前には、すでにこの地名があったことになります。

石川線沿線は難読地名の宝庫

四十万に限らず、西金沢から石川線で南へ向かう沿線には、読み方に迷う地名が並びます。

地名読み
四十万しじま
米泉よねいずみ
御経塚おきょうづか
馬替まがえ
乙丸おとまる

米泉が「べいせん」ではなく「よねいずみ」であることも、江戸時代の登記から確認できます。

駅名として残るということ

地名は市町村合併や住居表示の変更で消えていくことがあります。その点、駅名になった地名は残りやすい。四十万という読みにくい地名がいまも日常的に目に触れるのは、石川線に駅があるからです。

石川線は2024年に鉄道として存続する方針が固まりました。この難読地名も、当分は現役です。

参考